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【イギリス在住者が解説】イギリスはなぜワクチン接種が進んでいるのか

お久しぶりです。高菜です。日本のいよいよワクチン接種が始まりましたね。

ただ、日本のワクチン接種のスピードが他国に比べて遅く、

受診票の数字が読み込めないだとか予約システムがパンクしているだとか、

予約ができない高齢者が役所に押し掛けるとか

あらあらゆる問題が散見されています。

(「端末で数字が読めないから読み取り専用の台配送します!」って大真面目に言ってるIT大臣はまじでやばい。ほんとに日本大丈夫かよ、、、って思いますよね。)

一方イギリスでは世界の中でもワクチン接種が進んでいるため、

どうしてこんなにワクチン接種が進んでいるのか解説していきたいと思います。

現在のイギリスのワクチン接種率は?

2021/5/14時点でワクチンを1回以上接種した方は

約3600万人で国民の54%が1回目のワクチン接種を終えています。

夫の会社同僚である40代の方が以前ワクチンを接種したとのことでしたので、

もうじき30代に回ってくるのではないかと思います。

今年の12月から接種を始めたので、5ヶ月間で国民の半分というスピード感です。

イギリス政府のコロナ対策には批判も多かったですが、ワクチン接種の対応については、

誰も文句を言えないのではないでしょうか。

イギリスのワクチン接種が進んでいる5つの理由

①病院の制度

国中にNHSという国営の医療サービス(病院)がある

イギリスにはNHSと呼ばれる国営の医療サービスがあります。

イギリスに住む全ての人がほぼ無料で医療を受けられ、

ひとりひとり近所の病院にかかりつけ医がいます。

病院を国が管理しているので、ワクチン接種の指示を一律に行うことができたのではないでしょうか。

ワクチンの確保は国が、接種の体制作りはNHSが行っていたため、

医療現場の意見が反映された仕組ができたと言えます。

②政府の対応

ワクチンの開発・確保が素早かった

コロナウイルスが世界中に広まり始めた2020年4月にはオックスフォード大学がEU圏で初めてワクチンの臨床試験を開始しました。

政府は同年7月に9000万人分のワクチン購入に合意しています。

開発・確保の速さがいち早くワクチン接種を開始できたことにつながったと言えます。

2020年春からワクチン接種の準備を行っていた

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210513/k10013026071000.html

NHKニュースによると、2020年春からワクチン接種のための準備を行っていたとのことです。

また同年夏から会場の確保のため関係者と協議を進めていました。

ちなみに接種会場は大きなホールから町の小さな薬局まで幅広く2800か所以上にのぼります。

医者・看護師以外もワクチン接種ができるよう法整備

政府はワクチン接種の準備に合わせて人員の確保にも乗り出しました。

2020年10月には通常接種できない人がトレーニングを行えばワクチンを接種できるようになりました。

これにより医学生や理学療法士、言語療法士、さらには医療に携わった経験のない人まで、ワクチン接種を行えることになりました。

日本でこれをやったら結構な批判が出そうですが、

ある程度のリスクを取ってでもワクチン接種を進めるぞ!という気概が感じられますね。

③予約システムについて

とても細かいグループ分けで接種 初期の連絡は5歳ずつ

ワクチン接種のグループ分けはとても細かく行っています。

まずは医療従事者、次に介護職員、80歳以上の方と続きます。

その後は5歳ずつ年齢を下げてその世代がある程度打ち終わったら次の年齢へ連絡という形です。

下記のサイトがとても分かりやすいです。

https://www.bbc.com/japanese/56143380

この仕組みはぜひ日本にも取り入れてほしいですよね。

なぜ全員のワクチン確保できてないのに「65歳以上ワクチン開始しますよ~」って連絡しちゃうんだろう、、、予約がパンクするのは容易に想像できるはず。

接種予約は基本的にWEBで

ワクチン接種の番が回ってきたら、家にワクチン接種に関する封筒が届きます。

封筒が届いたら自分の家の近くの会場をネットで予約します。

夫の同僚の話によると候補日が複数あることや、年代を細かく分けて連絡を行っているため、

特にサーバーのパンクなどはなくスムーズに予約ができたとのことでした。

(WEBが使えない方向けに電話窓口も用意されているようです。)

1回目の接種が終わったらすぐに2回目の予約

これまた夫の同僚情報になってしまうのですが、

1回目のワクチン接種を終えた後、数週間空けて2回目の予約をするように接種会場からお願いされるようです。

2回目のワクチン予約もWEBですんなり予約できたとのことでした。

 ④ワクチンを1本も無駄にしない仕組み

ワクチンが余ったら医療従事者の知り合いに接種

ワクチン会場でワクチンの接種数を厳密に管理しているようで、

必ずすべてのワクチンを使い切っているとのことです。

中にはワクチンの予約をキャンセルする人もいるので、その場合は医療従事者の知り合いを呼んで接種しています。

私のアパートにも先日「医療従事者からの連絡です。今日この時間にこの場所でワクチン接種できる方はご連絡ください」というメールが来ていました。

メールに気付いたのは翌日でした。行きたかった、、、。

日本では余ったワクチンの接種で職員が打っていたということで叩かれてますが、もうこればっかりは大目に見てやれよ、、、と思います。

毎朝ワクチン接種の補欠を受付

これは会場によりけりなので一概に言えないですが、

朝にワクチン接種会場に行くと、キャンセルがあった場合の補欠でワクチンを打てる整理券がもらえるところもあるそうです。

電話がかかってきたらすぐに出なければいけないとか、電話がかかってきたら5分以内に会場に行かなくてはいけないとかいろいろ制限はあるそうです。

そうはいってもワクチンを無駄にしないという素晴らしい仕組みだと思います。

⑤ ボランティアの存在

20万人のボランティアが集まる

 ワクチンを接種するためには注射を打つ方だけではなく様々な人員が必要です。

例えば、会場案内、データ入力、接種後の見守りなどです。

NHSがこのボランティアを募集したところ、なんと20万人の応募があったそうです。

ボランティアの存在が迅速なワクチン接種を支えています。

「批判する前に自分たちにできることを協力する」ボランティアの方々を心から尊敬します。

まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございました。

イギリスのワクチン接種が進んでいる理由についてお伝えしました。

文化的な違いがあるかもしれませんがイギリスは「リスクを取ってでもワクチン接種を進める」という強い意志があるように感じられます。

イギリスはコロナの流行で12万人が亡くなったという背景もあり、より一層国民全員で乗り越えようという感じがします。

ワクチン接種が進んでからは確実に感染者数が減っています。

日本も出来るだけ早くすべての人にワクチンが行き渡ることを願っています。